2-5.シリコンウエハーに求められる清浄度Ⅳ

シリコンウエハーに求められる清浄度Ⅳ

シリコンウエハーや半導体の製造工程において、清純度、つまり、クリーンな状態であることが望まれます。パーティクルというゴミがない状態であればあるほど、製品の歩留まりがよくなるので、非常に神経を使って作られています。ゴミのない空間、クリーンな部屋をクリーンルームといいます。

パーティクル

半導体の製造の中で一番のポイントはパーティクルと呼ばれる大気中のゴミや不純物です。半導体はナノレベルの単位で作られますから、当然不純物やゴミがかんでしまうと、歩留まりに大きな影響が出ます。例えば、LSIの配線について、これらの寸法は先端のLSIでは30nmを切っています。シリコンウエハーの表面にパーティクルが生じると、配線形成の際、パターン断線したり、形状不良を起こすことが予想されます。

クリーンルーム

半導体工場を思い浮かべることはかのうでしょうか。真っ白い服をまとった人たちがシリコンウエハーが移動する中を見守っています。いかにも、どんどん無人化されてロボットが動いているらしいですが。ここではパーティクルを極限まで少なくしたエリアのことをクリーンルームといいます。エア(空気)を何回もリターンさせ、フィルターなどで気中パーティクルを非常に少なくしています。いわゆる空気清浄機ですね。したがって半導体ファブのクリーンルーム内やプロセス装置内のパーティクルは常に専用のパーティクル測定装置でモニタリングされています。まったく同じ装置で半導体を作っていたとしてもクリーンルームのクリーンレベルで企業の利益が変わってきますので、非常に重要なプロセスといえます。クリーンルームに入る際にはエアシャワーを浴びて、クリーン服についたパーティクルを除去します。企業によっては、化粧やクリーン服に着替える前にシャワーを浴びるルールを設けています。半導体工場のクリーンルーム環境は0.1μ~0.5μmの空中のゴミや細菌などを対象とし、温度も湿度も一定に保たれています。クリーンルームの質を示すために清浄度クラスという指標を使いますが、クラス1といえば、1立法フィート中に0.1μm以上の粒子1個あることを意味します。これは山の手線内に仁丹が一粒あるぐらいのレベルらしいのですが、それはそれで私にはピンときません。なんにせよ、人類が考えうる最上のクリーンさであるわけです。

また半導体デバイスは微小な電気の流れを用いるためにパーティクルだけでなく、いろいろな汚染(英語でコンタミネーションなので、現場ではコンタミということがあります)を嫌います。特にアルカリイオンや金属汚染は半導体デバイスに電気を流す際に余分な電気を流してしまうこともあり、また、有機汚染なども次のプロセスに与える影響が大きいため、その低減に努めなければなりません。その他、シリコンウエハ―を用いてLSIを作る過程でもいろいろな汚染が付着しており、常に清浄していなければなりません。

ウエハー表面に求められる清浄度

表面パーティクル:0.06~0.05ケ/cm2
@0.1μm

表面ラフネス:0.08nm

金属汚染:<2.1×109atoms/cm2

(Critical Surface MetalとしてCa,Co,Cr,Cu,Fe,K,Mo,Mn,Na,Niを定めている。)

有機汚染:<2.8×1013C atoms/cm2
可動イオン:<4.4×1010atoms/cm2