2-3.シリコンウエハーの性質についてⅡ

シリコンウエハーの性質

周期表:p型・n型の不純物

周期表:p型・n型の不純物

シリコンの元素について

まずは周期表を確認してください。

シリコン(Si)は炭素(C)やゲルマニウム(Ge)などと同じⅣ族の元素ですね。

Ⅳ族とは、最外殻電子(一番外側の軌道の電子)が4個であり、強い共有結合を他の原子と作ります。

Ⅳ族シリコン

Ⅳ族のシリコン、最も外側の電子が4つあります。

シリコンの元素

その例として、シリコン原子どうしで単結晶を作りますし、同じⅣ族の炭素(C)やゲルマニウム(Ge)とSiC(炭化ケイ素、シリコンカーバイド)やSiGe(シリコンゲルマニウム)のような安定半導体の単結晶を作ります。しかし、シリコンそのものは真性半導体で非常に安定しており、電気を流す効果が非常にすくないものです。ここにおける“安定”という言葉は、電気を流したり流さなかったりを肝としている半導体としての使い勝手としてはよくありません。

n型シリコン半導体、p型シリコン半導体

そこで電気が流れやすくするのが不純物の役割です。安定しているシリコン(Si)に我々がひと手間加えて不純物をいれてやることによって、電気が流れたり、流れにくくしたりとあの手この手で扱いにくい真性半導体の性質を変えてやるのです。ここでは絶縁体のものを導体の方向へ近づいていく、と理解してください。では、どのような不純物がいいのでしょうか。周期表を見てください。Ⅲ族とⅤ族に注目してください。不純物とされる候補は、最外殻電子のひとつ多いⅤ族の元素、もしくはひとつ少ないⅢ族の元素が使われます。それぞれをn型、p型と呼びます。

n型の不純物:シリコンより最外殻電子がひとつ多いⅤ族の元素

p型の不純物:シリコンより最外殻電子がひとつ少ないⅢ族の元素

これらの元素をシリコン結晶にいれることでそれぞれ、n型シリコン半導体、p型シリコン半導体となります。

ゲルマニウム(Ge)と炭素(C)

ここで疑問が浮かぶと思いますが、Ⅳ族であれば、そもそもゲルマニウム(Ge)でいいではないか。実はその通りで、当初は、ゲルマニウム(Ge)が半導体材料としてしようされました。ゲルマニウム(Ge)はシリコ(Si)ンに比べてバンドギャップが小さく、さらに熱酸化膜がシリコンに比較して不安定なためにその後使用されなくなりました。(→化合物半導体)しかし、最近、電子の移動度をあげるまため、シリコン結晶にゆがみを入れる目的でSiGeの層を作る技術が注目されているように再び登場し始めています。
炭素(C)はダイヤモンド、グラファイト、カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube)などの構造をとります。このうち、カーボンナノチューブをLSIのチャンネル部や配線に使用するという動きがあります。
一方、シリコンは単結晶、多結晶、非晶質(アモルファス)などの状態を作ることができ、それぞれの特徴生かしたデバイスが実現されています。シリコンの熱酸化膜は安定で、かつ、バンドギャップもゲルマニウムより大きく、デバイスとしての安定性にメリットがあります。

ダイヤモンド半導体

その他、ダイヤモンドで半導体を作ろうという研究も進んでいます。高周波で大電力化に向いていおり、次世代のパワー半導体として活躍するようです。そのポテンシャルはシリコンなどと比べて、高温動作温度で5倍、高電圧化で30倍、高速化では4倍の特徴を持つといわれています。近年の半導体では、苦渋をなめている日本ですが、ダイヤモンド半導体では日本企業や研究機関がその先頭を走っており、日本半導体の切り札になるかもしれません。