3-6.不純物拡散

不純物拡散

シリコンウエハー、あるいはマスク(レジストやSiO2)を通して表面の一部領域にわざとボロン(B)やリン(P)などの不純物を堆積し、その後、熱拡散によって不純物を所望の深さまで再分布させてP型半導体領域やN型半導体領域を作る工程。熱拡散法とイオン注入法がありますが、ウエハーの大口径化やプロセスの微細化に伴ってイオン注入が多く用いられるようになった。

熱拡散方式

高温加熱された拡散炉内でウエハーに不純物ガスを堆積させ、同時に不純物がウエハー中に広くいきわたるように拡散する方式。一度に数十枚のウエハーを処理することが可能だが、不純物の種類、ガスの流量、各参事官などによる不純物濃度や深さの制御が難しいため、微細化構造の不純物拡散には向いていない。

不純物の種類とソース

導電型 不純物 不純物源 状態(常温)
N アンチモン(Sb) Sb2O3 固体
N ヒ素(As) As2O3 固体
N ヒ素(As) AsH3 気体
N リン(P) POCl 液体
N リン(P) PH3 気体
P ホウ素(B) BBr 液体
P ホウ素(B) B2H6 気体
P ホウ素(B) BCl 気体
P ホウ素(B) BN 固体

イオン注入

イオン注入装置を用いてリン(P)、ヒ素(As)、ボロン(B)などの不純物を真空中でイオン化し、これを高電界で加速してウエーハ表面に打ち込んで注入する方式。打ち込まれる不純物の深さは加速電圧によって決まり、不純物濃度や深さはイオンビームの電流・電圧で決まるので、イオン注入によって、不純物濃度の性格なコントロールができる。つまり、浅い拡散層(PN結合)をつくることが可能になり、横方向の広がりをきちんと抑えながらも深い拡散層が作れる。またフォトレジストをマスクにして選択的に不純物を添加できる。

シリコン格子に不純物が注入された例

シリコン格子に不純物が注入された例

 

シリコンに注入される不純物の例

シリコンに注入される不純物の例  P型:電子がひとつ少ない  N型:電子がひとつ多い