3-1-1.CVD(化学気相成長)

CVD法

CVD法

化学気相成長の略でつくる薄膜の種類に応じて、チェンバー内にウエーハと付着させようとする材料の原料を気相状態(ガス)で供給し、熱やプラズマエネルギーの科学的反応によって所望の膜をウエーハ表面に堆積していく方法。このエネルギーの種類に応じ、熱エネルギーを利用する「熱CVD」と「プラズマCVD」に分けられる。熱CVDは、成長時の圧力が大気圧より低い状態で行う減圧CVD(LP-CVD)と大気圧状態で行う常圧CVD(AP-CVD)に分けられる。なお、減圧CVDにおいて、チャンバー(気相成長反応をおこさせる入れ物)の管壁を高温に上げたホットウォール式と常温に保ったコールドウォール式などがある。

常圧CVD

温度400~800℃で大気圧下で成長させる。常圧CVDは成長速度が大きく、常圧であるため複雑な真空径が不要であるという利点がある反面、膜厚の均一性やステップ・カバレッジが劣り、パーティクルが発生しやすいなどの欠点もある。

減圧CVD

温度としては常圧CVDと同じ程度だが、0.1~30Torr(圧力の単位。1/760気圧)の減圧下で成長する。薄質やステップ・カバレッジが良好で大量処理が可能。

ホットウォール方式

チャンバー(耐熱性の高い石英が使われることが多い)の外側から500℃以上の高温成膜で行います。大量のウエーハ処理が可能ですが、急激に温度をあげるわけにはいかないので処理時間は長くなります。(時間が長くなるのに伴い、電気代のコストが莫大なってきます。)ガスをウエハーと垂直に流す必要があるため、大量のウェーハを処理できる。減圧CVDでこの方式がとられることとが多い。

コールドウォール方式

横置きに置く場合が多く、ステージの材料の耐熱性からヒータ温度に制限があり、500℃以下の低温成膜に使用されます。処理時間は短いですが、枚数が多いと時間がかかります。常温CVDやプラズマCVDもこの方法がとられることが多い。

プラズマCVD

高周波電力で原料ガスをプラズマ化する。250~400℃と比較的低温で、圧力は0.1~30Torrの減圧下で成長する。低温での成膜が可能だが、LSIがプラズマによって電気的ダメージを受けないようにする。

バイアス高密度プラズマCVD

プラズマCVDによる薄膜の堆積と、スパッタによるエッチングを同時に行う方法。3mTorrと低圧ですが、プラズマ密度が高いため成長速度は通常のプラズマCVDと同等。反応ガスの飛来方向の異方性が高く、エッチングをしながら堆積させるので、下地パターンの狭いギャップに対する埋め込み性が高く膜質も緻密なため、多層配線などに適している。